誰も知らない地方よりも
孤独な通い慣れた道

少しずつ変わりゆく風景と
とても背が縮んでしまったような感覚

いつも寝ていたホームレス

『あたしは綺麗にしてたのに、いつも避けられた。
 ねえ、私の何が悪かったの?』

彼はきっとそう思っていただろう。

そんな彼と何度もすれ違いながら
どうにか生きながらえたあの日々。

寄り道する相手が欲しかった
16年間通い続けた
通っていた期間の何倍も
毎年、今も生きていることを実感したくて通い続けた

だいぶ遠い記憶
言われたセリフもほとんど思い出せない
それでも胸がいっぱいになる
息ができないくらい苦しくなる日もある

ちゃんとしてるかな?私?
大丈夫かな?
もう笑えてるかなぁ?

毎日通い続けた校門
休もうなんて考えたこともなかった
毎日行く、何があったとしても
心を殺してでも

それ以外に選択肢なんて
知らなかったし
今考えても要らなかったと思い

なぜなら
あの時逃げなかったことは
その後の私を何度でも支えてくれるから

気合いで乗り切れると思ってた
心なんていくらズタボロでも
どうにかなると思ってた

何もしゃべれなかったこと
悔しかった

何も言えなくて
何も分からなくなって
悔しかった

悔しいかも分からなくなって
何もなくなって
涙も止まった

本当の牢獄に
鍵なんていらない

入口が開いているのに
扉だって思いっきり開いているのに
そこがどれだけ心地悪くても
出る意欲さえ湧かない
出るという発想自体が湧かない

それが、その人にとって
本当の意味での牢獄なのだと思う

「ごめんね」なんて思わない
どれだけ苦しかったとしても
私はあの時の私に申し訳ないなんで思わない
ただ、私はあの時の私と生きている

「ごめんね」なんて思わない
これからの私は
きっとあの時の私も救えるから

「ごめんね」なんて思わない
今の私はただ一生懸命生きてたまたま幸せで
あの時の私だって本気で生きていただけだから

「ごめんね」なんて思わない
あの時の私のおかげで
それ以上のものを手に入れた

「ごめんね」なんて思わない
私は精一杯やったから
あれ以上なんて何もできなかったし
今の私だってこれしかできない

「ごめんね」なんて思わない
誰にも分かってもらえなくても
自分が全力でやったことは知ってるから

「ごめんね」なんて思わない
誰にも分かってもらえなくても
私は相手を想って行動したから

「ごめんね」なんて思わない
誰にも分かってもらえなくても
私は大丈夫だから

「ごめんね」なんて思わない
私は強く生きていかれるから

「ごめんね」なんて思わない
あの時の行動も生き方も
選んだのは私だから

正しいか正しくないかなんて
あの時も今も
どうでも良いの

それでも
誰が何と言おうと
私に悪意なんて
1ミリもなかった

それだけは
自分が一番分かってるから

どんなに批判されても
どんなに誤解されても

そんなのどうでも良い
心の底からどうでも良い
ただ「わかってないね」と呟いて
口笛を吹きながら
スキップをして歩き出せば良い

私は私として
正直に全力で生きた

生きたいという気持ちにも正直に
ちゃんと生きた

最後まで絶望しかしなかった
最後まで大きく傷つけることはなかった
最後まで頭がおかしくなるまで
理性を失わなかった
最後まで周りを思い続けた
そんな自分を褒めてやりたい

あんなに弱くて
つらくて
言葉にできなくて

それでもしっかりと生きたことを
褒めてやりたい

全てに目を瞑ってでも
とりあえず生き抜いた日々を
褒めてやりたい

私は私として
全力で生きたことを

生きたことを
生きたことを
生きたことを

どれだけ汚かったとしても
みっともなく惨めで哀れだったとしても
私は自信を持って誇れるよ

悲しみなんてものはない
世界はいつだって優しい

誰も分かってくれなくても
世界はわかってくれていた

そうなんじゃないかな?
だから今まだ
生きてるんじゃないかな?

いいえ
たとえそうじゃなくても
生きていたかもしれない

たとえ生きていなくても
世界はいつだって優しかったと思いたい

あの日までは
力がなかったこと
力をつけなくていいと思っていたこと
甘えていたこと
なんとかなると思っていたこと

それ以外に
一つも後悔はない

誰かを深々と傷付けなくて良かった

本当に、私は
私のような人を
他に生み出す存在ではなくて
良かったと思う

曲:雨が降っていた日 (作詞作曲 私)

(前略)

何かが
嬉しいか悲しいか
分からなくても
明日は生きられると
ふわり思った

それは雨が降っていた日で
傘の中で私の空は晴れていた

(中略)

それは雨が降っていた日で
傘にそっと隠れて少し笑ってた

その日雨が降っていなかったなら
もう笑うことも出来なかっただろう

その日雨が降り続いていたから
私は雨にまぎれて
歩き出せたのよ

少し笑ってた
少し笑ってた